父と弟殺害 女性被告の初公判で弁護側、全面的無罪主張 大阪地裁

堺市で2018年に練炭自殺を装って弟を殺害したほか、父親にインスリンを過剰投与して死亡させたとして、2件の殺人罪などに問われた水道工事会社の元社長、足立朱美(あけみ)被告(48)は22日、大阪地裁(坂口裕俊裁判長)で始まった裁判員裁判の初公判で、起訴内容について「何も申し上げることはありません」と述べた。弁護側は「全て争う」として全面的に無罪を主張した。
公判は、足立被告が事件に関与したかどうかが主な争点になる。
起訴状などによると、足立被告は堺市中区の実家で18年3月、弟で建築会社社長だった聖光(まさみつ)さん(当時40歳)に睡眠薬を飲ませてトイレに運んだ後、練炭を燃やして一酸化炭素中毒に陥らせて殺害。同年1月には2度にわたり、糖尿病や肺がんを患っていた父親の富夫さん(当時67歳)にインスリンを過剰に投与したとされる。富夫さんは救急搬送され、6月に死亡した。
検察側の冒頭陳述によると、富夫さんはインスリンを常用しており、足立被告が事故に見せかけようと考えたと指摘。富夫さんの体調急変について、聖光さんが足立被告の関与を疑っていたことから、足立被告は聖光さん名義の遺書を自ら用意し、練炭自殺を装って殺害したと主張した。
一方、弁護側は足立被告は2人の死亡に関与していないとした上で、富夫さんの死亡とインスリン投与との因果関係を否定。富夫さんは3月ごろには一時回復しており、亡くなった直接の原因はがんの悪化だったと反論した。
事件は、聖光さんが死亡した経緯や遺書に不審点があったことから表面化した。聖光さんと富夫さんの遺体からは同じ睡眠薬の成分も検出され、足立被告は聖光さんと富夫さんに対する殺人容疑で逮捕、起訴された。公判は今後、20回以上予定され、22年11月29日に判決が言い渡される見通し。【安元久美子】