戦時中に兵庫県加西市の姫路海軍航空隊鶉野(うずらの)飛行場近くに造られた巨大防空壕(ごう)の取り壊し作業が22日、始まった。市道建設工事に伴うもので、貴重な戦争遺産の撤去に市民らから惜しむ声が上がっている。
防空壕は飛行場跡の南西約600メートルの同市東笠原町にコンクリートで造られたL字形で、厚さ40~45センチ、内部の高さ約2・75メートル、幅約3メートル、長さは約12メートルと約19メートルある。1943年の飛行場建設後に造られ、L字形防空壕はこの一帯では珍しいという。
撤去は渋滞緩和のためのバイパス道路建設に伴うもので、市は他のルートや橋の建設も検討したが、ため池や商業施設があるほか、経費高騰や完成の遅れを招くため撤去に踏み切った。作業は午前10時過ぎから始まり、重機2台で防空壕の端から崩していった。
現場を訪れた西村和平市長は「取り壊しは残念だが、長い間市議会で議論し、市の発展に必要と判断した」とし、「他の戦争遺産も含めて総合的に生かし、戦争のない平和な社会を追求したい」と話した。
鶉野平和祈念の碑苑保存会の上谷(うえたに)昭夫代表は「『貴重な実物資料は残すのが市の使命』と話す他市の市長もいる。当時の軍人が懸命に造ったもので、後世に残すべきものだ」と工事を見守りながら肩を落としていた。
市は神戸大とともに防空壕調査をしており、現地に看板を設けるなどして平和学習に生かすという。【阿部浩之】