「チグハグ」岸田首相 原発で英断、エネルギー〝政治判断〟は明確も…コロナ感染者の全数把握は地方に丸投げの〝無責任さ〟

岸田文雄首相に「チグハグ」さが目立つ。エネルギーの安定供給と脱炭素社会への転換に向け、次世代型原発の建設を検討する方針を示し、来夏以降、7基の原発を追加で順次再稼働させる方針を公表した。一方、新型コロナ対策では感染者の全数把握を見直す方針を表明したが、自治体の判断に委ねるとしたため、「丸投げ批判」も噴出している。
■7基再稼働
「原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を取る」「(原発推進へ)政治判断を必要とする項目が示された」
岸田首相は24日、こう語った。
次世代型原発の建設は、首相官邸で開いた脱炭素社会の実現に向けた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で打ち出した。「革新軽水炉」と呼ばれる原子炉が有力で、現行の原子炉をベースに安全性を高めたものという。
最長60年とした原発の運転期間延長も検討し、来年以降、すでに新規制基準の審査に合格している原発7基を追加で再稼働することも目指す。
ロシアによるウクライナ侵攻で燃料価格は高騰し、日本のエネルギー安全保障は揺らいでいる。国力の維持には、原発の新増設や建て替えは想定しないとしてきた、従来のエネルギー政策の転換は不可欠だった。
岸田首相は、エネルギーでは「政治判断」を明確にしたが、コロナ対応では「無責任さ」も見える。「国が基準を」
政府は、現在、医師に義務付けられる感染者全員の発生届を、医療機関や保健所の負担軽減のため、65歳以上や、入院が必要な人、重症化リスクがあり投薬が必要な人、妊婦に絞れるよう見直す方針を示した。
ただ、都道府県知事が厚労相に申請した場合に認めるとしており、実態は「自治体任せ」だ。
大阪市の松井一郎市長は24日、「見直しは歓迎するが、自治体に丸投げでは(判断が)バラバラになる」と苦言を呈し、全国一律の基準を定めるべきとの見解を示した。
評論家の八幡和郎氏は「岸田首相の、原発新設にまで踏み込んだ決断は高く評価できる。コロナの全数把握の見直しについては、自治体ごとに医療機関や保健所の事情が異なり、やむを得ない面もあるが、国が基準を明確に示すべきだ。原発政策を皮切りに『決断しない岸田首相』が、リーダーシップをとる方向に変わる機会になってほしい」と語った。