警察庁の露木新長官「一から出直す」 引責辞職の中村氏後任

警察庁の露木康浩長官(59)が30日に就任し、安倍晋三元首相(67)の銃撃事件を受けて事実上の引責辞職をした中村格(いたる)前長官(59)から事務引き継ぎを受けた。その後の記者会見で「最優先に取り組まなければいけないのは警護態勢の再構築。一から出直す覚悟で努力を積み重ねていきたい」と抱負を語った。
露木氏は、警察庁が銃撃事件の警護態勢の問題点を調べるために設置した「検証・見直しチーム」のトップを次長として務めた。検証結果について「現時点で必要十分な内容を盛り込んだと考えているが、今後の情勢の変化を踏まえ、不断の見直しを図っていくことも重要」と指摘した。
一方、中村氏も30日、退任の会見を開いた。「二度とこのような惨劇が繰り返されることがないようにすることが安倍元首相へのせめてもの償い」と話し、同じ1986年入庁の露木氏に対しては「私が最も信頼する同期で、力を合わせ、助け合ってきた。国民の期待、信頼に応える警察に向けて必ずやってくれると確信している」と述べた。
中村氏は、銃撃事件の検証報告書を公表した今月25日に「人心を一新する」として事実上の引責辞職を表明した。警察庁長官が個別の事件の責任を取るのは異例。警察官による覚醒剤使用事件を神奈川県警が隠蔽(いんぺい)するなどした不祥事が99年に発覚し、当時の関口祐弘長官が翌年1月に辞職したが、引責は否定した。【松本惇】