新型コロナウイルス感染の発生届を重症化リスクの高い高齢者らに限定する「全数把握」の見直しを国に申請した宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県の知事は30日、オンライン会議を開き、届け出の対象外となる軽症者らの療養証明について、国に運用の改善を求めていく方針で一致した。
全数把握の見直しをめぐっては4県が29日に他の自治体に先駆けて申請。軽症者や若年層らの患者情報を国に報告する必要がなくなり医療現場の負担軽減が期待される一方、届け出対象外の感染者に療養証明書が発行されず医療保険の入院給付金を請求できなくなる事態が懸念される。
宮城県の村井嘉浩知事は「発生届の対象となるか否かで取り扱いが異なり大変不公平だ。早急に解決策を講じるべきだ」と強調し、鳥取県の平井伸治知事も「パイオニアとなって国のコロナ対策を変えていく先導役を果たしていく。政府には不都合は直ちに正してほしい」と語った。
佐賀県の山口祥義知事は「簡素な方法で保険の請求ができればベストだろう。対象外の感染者が体調悪化したときのフォローアップや物資支援の体制維持も必須だ」と指摘した。
政府は全数把握の見直しを31日に運用開始する方針を示していたが、9月2日に先送りしており、茨城県の大井川和彦知事は「再調整しなければならず困惑している。事務連絡もなくお粗末」と苦言も呈した。
療養証明の運用改善などについては村井氏が30日午後に東京都内で加藤勝信厚生労働相に要請する予定。