オミクロン対応の新ワクチン、全成人を想定…高齢者への優先接種も検討

加藤厚生労働相は30日午前、閣議後の記者会見で、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対応した新たなワクチンの接種対象者について、従来のワクチンを2回以上接種した18歳以上の全成人を想定しているとの考えを示した。政府は9月中の接種前倒しを目指し、ワクチンの輸入など接種体制の整備を急ぐ。
新ワクチンは、従来株に対応した現行ワクチンと、オミクロン株の初期に流行した系統「BA・1」に対応する成分を組み合わせた「2価ワクチン」と呼ばれる。政府は新ワクチンについて、当初10月半ばとしていた接種開始を前倒しし、9月中にも接種を始める方向で調整している。接種は予防接種法上の「臨時接種」に位置づけ、無料で受けられるようにする方針だ。
新ワクチンを巡っては、米ファイザーと米モデルナがそれぞれ承認申請を厚労省に行っている。専門家分科会での審議を経て、薬事承認がされ次第、政府は9月中に輸入を開始したい考えだ。
松野官房長官は30日の記者会見で、新ワクチンについて「製薬企業とも調整を進め、できるだけ早い段階で接種を開始できるよう取り組んでいる」と述べた。
ただ、オミクロン株の世界規模の流行によって、新ワクチンが世界中で争奪戦になることが想定され、輸入量が限られる可能性もある。このため、政府は高齢者などへの優先接種も検討している。松野氏は、接種対象について「厚労省の審議会において今後議論がなされたうえで決定していく」と語った。
政府は現在、重症化予防を目的にした新型コロナワクチンの4回目接種を60歳以上と基礎疾患がある18歳以上などに限定している。新ワクチンは、18歳以上で2回以上接種を終えていれば誰でも接種でき、大幅に対象が拡大することになる。