厚生労働省は30日、希望しても認可保育所などに入れない待機児童が、今年4月1日時点で前年より2690人少ない2944人だったと発表した。1994年の調査開始以降で最少となり、近年のピークだった2017年(2万6081人)の1割強の水準にまで減少した。全市区町村の約85%で待機児童が「ゼロ」だった。
各地で保育の受け皿が増えたことに加え、少子化や新型コロナウイルス禍による利用控えなどが影響し、4年連続で最少を更新した。
認可保育所のほか、自治体が独自に補助する保育施設などを含む保育の受け皿の定員は、この1年間で約3万2000人増え、約322万7000人だった。
一方、申込者数は前年より約1万6000人少ない約281万3000人で、2年連続で減少した。定員は申込者数を上回っているが、交通の便の良い施設に申し込みが集中したことなどから待機児童が生じた。
待機児童がいるのは、前年より60少ない252自治体だった。待機児童が50人以上いるのは10自治体にまで減少した。人数が最も多かったのは鹿児島市の136人で、千葉県八千代市の119人、兵庫県明石市の100人が続いた。前年よりも待機児童の数が増えたところも98自治体あった。
政府は2021年度からの4年間で、保育の受け皿を約14万人分整備する「新子育て安心プラン」を進めている。24年度末までの出来るだけ早い時期に待機児童を解消することを目指している。
待機児童はピーク時より大きく減少しているが、女性の就業率が上昇傾向にあることなどから、厚労省は保育の申込者数が再び増加に転じる可能性があるとみている。このため政府は、計画に沿って受け皿整備を継続する方針だ。
◆待機児童=保育施設(認可保育所、認定こども園など)への入園を希望したが、受け入れられない状態にある児童。特定の保育所のみを希望する場合などは含まれない。保護者は認可外の施設の利用や育児休業の延長といった対応を迫られる。