東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、東京地検特捜部は5日、大阪市の広告代理店「大広(だいこう)」の本社に家宅捜索に入った。大会組織委員会からスポンサー集めを請け負った大手広告会社「電通」(東京)の下請けに入ったことへの謝礼として、組織委元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で逮捕=側に資金提供した疑いがある。特捜部は贈賄容疑に当たる可能性があるとみている模様だ。
大広本社が入る大阪市北区のオフィスビルには5日午前9時55分ごろ、特捜部の係官数人が列をつくって訪れた。係官は12階の受付で「東京地検です」と告げて同社内に入った。
関係者によると、2014年1月に発足した組織委はスポンサー集めの「専任代理店」として電通と契約し、スポンサー企業は電通を窓口にして組織委と契約を結んだ。ただ、電通側が必要性を認めた場合、例外的に「販売協力代理店」として別の企業がスポンサー集めに関わることも認められていた。販売協力代理店には電通がスポンサー契約で得た報酬から一定割合が支払われる仕組みだった。
電通元専務の高橋元理事は16年ごろ、サービス系企業をスポンサー候補として電通に紹介し、併せて大広を販売協力代理店にするよう要請した疑いがある。大広は実際に販売協力代理店となり、サービス系企業とスポンサー料(協賛金)などを交渉。サービス系企業は協賛金7億円で18年中にスポンサーに決まった。
大広は組織委側からスポンサー選定の報酬を受け取った後、元理事の知人男性が代表のコンサルタント会社に資金提供した疑いがある。知人男性は電通元幹部で、特捜部は資金の一部が元理事に渡ったとみている模様だ。大広の役員は8月上旬の毎日新聞の取材に「高橋元理事を通じて電通に紹介してもらったが、謝礼などは一切払っていない」と説明している。
元理事の知人男性の会社を巡っては、大会スポンサーだった出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)から総額約7000万円を受領していた疑いも浮上している。元理事はKADOKAWAのスポンサー契約を仲介した疑いがあり、特捜部が資金の流れを捜査している。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、古川幸奈】