静岡県牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で、バスに置き去りにされた園児が死亡した事件を受けて、自動車内装材を取り扱う商社「三洋貿易」(東京都千代田区)が2023年度の国内導入を目指す「置き去り検知センサー」への問い合わせが相次いでいる。車内に残った人をセンサーで検知して警告を発する仕組みで、ヒューマンエラーの影響を最小限に抑える「最後の砦(とりで)」として効果が期待される。【皆川真仁】
置き去り検知センサーはルクセンブルクの企業が開発した「LiDAS(ライダス)」と呼ばれるシステムで、エンジンを切った後に、バス内の天井に設置した複数のセンサーで人を検知すると担当者のスマホやオフィスに警告を発する仕組み。毛布や椅子の下に隠れた乳児の動きも検知できる精度だという。アメリカでは20年から3州のスクールバスで導入され、いずれも乗客の置き去り事案は発生していないという。
同社は21年7月に福岡県中間市で当時5歳の男児が送迎バスに取り残されて死亡した事件を受けてシステムの国内導入を決めた。導入費用は数十万円と安価で、5日の事件から15日までに、保育施設や自治体からシステムに関する30件以上の問い合わせがあったという。年内に実証実験を行い、23年度から導入する予定。同社の担当者は「各園での園児の確認は大前提とした上で、システムを『最後の砦』として悲しい事故を一つでも防ぎたい」と話す。
また、小児科医で子供のけがや事故の予防に取り組むNPO法人「Safe Kids Japan」(東京)の山中龍宏理事長は福岡の事件後に行政などがまとめた再発防止策について「人の注意力だけに頼った対策で、有効ではなかった」と指摘する。その上で「個人の資質に頼るのではなく、センサーなどの製品を積極的に導入して人のミスをカバーする環境を整えることを優先すべきだ」と見解を述べた。