両陛下、エリザベス女王に感謝と哀悼の祈り…天皇陛下は留学中に家族のようなもてなし受けられる

【ロンドン=大塚美智子】19日に英ロンドンで営まれたエリザベス女王の国葬には、各国の王族や元首らが集まり、日本からは天皇、皇后両陛下が参列された。皇室の3代の天皇と70年にわたって親交を深めた女王に、感謝と哀悼の祈りをささげられた。
天皇陛下(62)はモーニング姿、皇后さま(58)は黒のロングドレス姿で、海外王族らとともにバスで会場のウェストミンスター寺院に到着。参列席に座り、厳粛な雰囲気で行われた国葬を見守られた。
陛下は前日の18日夜(日本時間19日未明)、ウェストミンスター宮殿内のホールに安置されていた女王のひつぎに拝礼された。側近によると、陛下はこれまでの女王の温かい心遣いに感謝し、静かに別れのあいさつをされたという。
女王と皇室との交友は70年に及んだ。
1953年6月に同寺院で執り行われた女王の

戴冠
(たいかん)式には、当時19歳の皇太子だった上皇さま(88)が参列し、最前列で祝意を示された。
71年10月には、天皇として初訪英した昭和天皇が寺院を訪問し、無名戦士の墓に供花した。この夜の

晩餐
(ばんさん)会で、女王は「私どもは過去が存在しなかったと偽ることはできません」と先の大戦に率直に触れた。昭和天皇は、女王の祖父のジョージ5世国王(1865~1936年)から受けた薫陶に感謝し、今後さらに英国と協力して世界平和の維持に努力したいと述べた。
今の陛下は83~85年の英国留学中、女王から家族の一員のような温かいもてなしを受けられた。側近によると、84年9月には女王夫妻から招待を受け、英北部スコットランドのバルモラル城で数日間を過ごされた。女王や夫のフィリップ殿下が運転する車に同乗し、城内でバーベキューやピクニックを楽しまれた。
「天皇陛下は女王をとても尊敬されていた」と語るのは、陛下の留学中に3か月間、英語を教えていた英国人のフィリップ・コルコスさん(72)。今回の女王の国葬に、皇族方ではなく、陛下自らが参列されたことについて、コルコスさんは「女王や英国を抱きしめてくれているように感じる」と感謝した。