「指を動かすだけでお手軽に5万円」「1人100万円、毎日配ります」―。ネット上でよくある甘い誘惑には落とし穴があった。専門家は「副業勧誘は情報商材販売の入り口であるケースが多く、お金配りは、特殊詐欺の犯行グループに巻き込まれるリスクもある」と警鐘を鳴らす。被害を回避するため知っておきたいポイントを聞いた。
◇
消費者庁は15日、「1日10分の作業で稼げる」などとうたって副業のガイドブックを販売し、さらに高額なサポートプランを契約させていたとして、「ゼニス」(東京都渋谷区)と「レイズ」(大阪市)の2社を消費者安全法に基づき公表した。2社は同じ人物が代表を務め、昨年6月から今年6月までに計約3億円の売り上げがあったとみている。
2社はネット上で「副業」「簡単」などと検索すると表示されるウェブサイト上で、「スキマ時間で稼げる」といったフレーズで副業案件を紹介。詳細はLINEで「育児中の母親」を称するアカウントから説明される。興味を持った人物には副業に必要なガイドブックの購入費用として2万円前後を要求。サポートプランは10万~180万円だったという。
悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は「副業と称した情報商材の販売では典型的な手口だ。ほとんどの場合、ガイドブックを購入後に電話で『月収でいくらほしいか』と持ち掛けられ、サポートプランの契約を勧誘される。民法上は口約束でも契約が成立するケースが多く、とにかく電話口で『はい』と返事させようと語りかけてくる。勧誘を受けたら一度電話を切り、消費生活センターなどに相談するべきだ」と解説する。
副業勧誘はSNSに突然見知らぬアカウントがダイレクトメッセージを送信してくるケースもあるというから要注意だ。
同じくSNS上で横行しているのが、「現金配布」をうたう事案だ。ツイッターでは「現金配りに応募したら、いつのまにか特殊詐欺の犯行グループに巻き込まれていた」という投稿も注目された。前出の多田氏が解説する。
「現金配布をうたうアカウントは多くの場合、LINE経由で応募者と接点を持ち、匿名性が高いロシア発SNSのテレグラムに誘導する。テレグラム上のやりとりで欲しい金額を聞いた上で、『銀行で新しい預金口座を開設しキャッシュカードを送ってほしい』と応募者に要求する。ところがカードを送っても返却されず、銀行から口座が不正利用されていると連絡を受け、初めて被害に気付く」
この場合、応募者は特殊詐欺の加害者として認定されることがある。「そもそも預金口座の譲渡は犯罪収益防止法に違反するため、キャッシュカードを送る行為が犯罪にあたる。逮捕されなくても家宅捜索などを受けたケースは多い」と多田氏。
甘い誘いに応じれば、被害者どころか加害者にもなりうる。