今年のノーベル医学生理学賞の受賞が決まったスバンテ・ペーボさん(67)は、京都大の研究会にもたびたび招かれていた。ゲノム解析を通じた独創的な業績だけでなく、宴席の盛り上げ役を買って出るような気さくな人柄も、多くの研究者を魅了したという。
京大ヒト行動進化研究センター(愛知県犬山市)の今井啓雄教授(55)は、研究分野が同じペーボさんを何度も日本に招き、研究会の開催などを通じて交流を続けてきた。
2007年に同センター前身の霊長類研究所40周年記念式典が京大百周年時計台記念館(京都市左京区)で催された際は、ペーボさんの通訳を務め、日本語のスライド作成にも協力した。
研究会の打ち上げでは、日本の研究者と一緒にカラオケ店に繰り出し、ロック調の曲を歌って会場を沸かす姿が印象に残っているという。日本の文化にも造詣が深く、特に禅に強い関心があり、本人から「何度もお忍びで日本に来ている」と聞いた。
ペーボさんのノーベル賞受賞決定の知らせを受け、今井さんは「化石から遺伝子を取るなどという、誰もやらなかったことに取り組んだ着眼点が素晴らしい。受賞はとても喜ばしいことだ」と祝福した。