堺市で平成30年、インスリン製剤の過剰投与で父親を、練炭自殺を装って弟をそれぞれ殺害したとして、殺人罪などに問われた無職、足立朱美被告(48)の裁判員裁判の第11回公判が3日、大阪地裁(坂口裕俊裁判長)で開かれた。弟の殺害について審理が始まり、検察側が「強い殺意があった」と指摘する一方、弁護側は「全て争う」と無罪を主張した。
起訴状などによると、30年3月、弟の聖光(まさみつ)さん=当時(40)=に睡眠薬などを服用させて眠らせた上、実家のトイレ内で練炭を燃やして一酸化炭素中毒で殺害したとしている。
検察側は、被告がインターネットで「一酸化炭素中毒」などと検索していたほか、練炭を事前に購入していたことを明らかにした。さらに聖光さんから検出された睡眠薬の成分は被告が処方されていたものと同一だったとして、「用意周到な犯行」と指弾した。
これに対し、弁護側は「被告と聖光さんとの間には体格差があり、一人で犯行が可能なのか」などと複数の疑問点を指摘した上で、「間違いなく事実といえるかどうか慎重に考えてほしい」と訴えた。