「変則軌道」は迎撃困難 自衛隊幹部ら懸念 北朝鮮ミサイル

北朝鮮の発射したミサイルが列島上空を通過する5年ぶりの事態に、防衛省(東京都新宿区)では、実際の部隊運用に当たる「制服組」の自衛隊幹部らも情報収集に追われた。北朝鮮は9月下旬から10月初めの1週間で4回発射しており、その中での今回の発射に、ある幹部は「日本の手前のEEZ(排他的経済水域)外側に落下するものとは大きく趣旨が異なる。段階が変わった」と語気を強めた。
北朝鮮は近年、迎撃困難な「変則軌道」のミサイルを開発しているとされる。別の幹部は「変則軌道のミサイルを制御できず、日本の領土に落下することも否定できない」と懸念する。
また、国土交通省は4日午前7時半、航空情報(ノータム)を出し、航空各社や周辺を飛行する航空機に注意を呼びかけた。4日午前の時点で被害の情報は確認されていない。日本航空(JAL)は青森発羽田便で出発準備を一時中断したが、全日空(ANA)を含めて大きな混乱はないという。
海上保安庁も午前7時29分に日本周辺海域を航行する船舶などに注意を呼びかける「航行警報」を発表。ミサイル落下の見通しなどを伝える「海の安全情報」も出して注意を呼びかけた。4日午前の時点で被害は確認されていない。
JR東日本やJR北海道によると、全国瞬時警報システム(Jアラート)の発出で、東北新幹線は新青森―盛岡間の上下線で運転を一時見合わせた。午前7時50分に運転が再開され、最大18分の遅れが発生した。北海道新幹線も新函館北斗―新青森間の上下線で運転を一時見合わせた。
北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(行方不明時13歳)の弟で、拉致被害者家族会代表の横田拓也さん(54)は「日本政府および国際社会は強く抗議してほしい。このような脅威を作り出すことは無意味であり、何も有益なものを得ることはないことを北朝鮮当局は理解すべきだ」とのコメントを出した。【内橋寿明、木下翔太郎、遠山和宏、斎藤文太郎】