福岡5歳餓死 児相所長が祖母に謝罪 母親、ママ友の地裁判決後

福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月に碇翔士郎(いかりしょうじろう)ちゃん(当時5歳)が十分な食事を与えられず餓死した事件を巡り、福岡児童相談所の所長が対応の不備を認め、翔士郎ちゃんの祖母(63)に謝罪したことが判明した。祖母は児相に翔士郎ちゃんの保護を求めたが、児相は保護をせず、祖母には「個人情報保護」を理由に詳しい説明をしなかった。事件発覚後の21年3月、児相は記者会見で「結果として亡くなられたことを重く受け止めている」としていたが、親族に謝罪したのは初めて。
事件を巡っては、母親の碇利恵被告(40)が保護責任者遺棄致死罪で懲役5年、碇被告を実質的に支配した「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)が同罪などで懲役15年の判決を福岡地裁で言い渡され、いずれも控訴している。祖母の代理人弁護士によると、両被告への地裁判決後の9月30日、児相の所長や県担当課の職員と祖母が県庁で面会した。
その際、所長から祖母に「対応が適切ではなかった。謝罪してもしきれない」と発言があった。ただ、再発防止策などの説明があった際、児相側から「終わったことはどうしようもない」と言われ、祖母が反発する一幕もあったという。
公判での証拠によると、児相は幼稚園を退園した19年秋ごろから翔士郎ちゃんを見守り対象としていた。
面談で児相側は、赤堀被告が「今は母親(碇被告)が体調が悪い」などとして、次の面会日を設定することもあったと説明。「私たちも赤堀被告に『操作』されていた面があったかもしれない」と述べたという。20年3月に担当者が翔士郎ちゃんと面会したが、保護の緊急性はないと判断したといい「会うことが目的化していた」と説明した。
祖母は児相を3月に2度訪問し「このままでは子供たちの命が危険だ」と訴えたが、児相は「大丈夫」などと答えた。4月にも電話で対応を求めたが、翔士郎ちゃんは間もなく亡くなった。祖母は碇被告の22年6月の地裁判決後、児相について「子どもの命を救うはずの児相が命を救わない。その現実を忘れません」「児相の責任もあると思う」などとコメントを出していた。【平塚雄太】