沖縄・与那国島に手つかずの巨大サンゴ礁 全長4キロ 洞窟のような地形も きれいに保たれた理由は?

沖縄・与那国島北東部の祖納地域の沖に、全長4キロ以上ある手付かずのサンゴ礁が広がっていることが4日までに分かった。生育状況は極めて良好といい、専門家は「非常に価値がある。他地域のサンゴ礁保全のヒントが得られるかもしれない」と期待している。(社会部・東江郁香)
サンゴ礁は2017年12月と18年7月、与那国町や九州大学浅海底フロンティア研究センターの菅(かん)浩伸センター長らが周辺海域を3次元測量した際に確認された。
サンゴ礁は島の北東沖、水深15~20メートルと比較的浅い場所にあり、南北約500メートル、東西4キロ以上。ハマサンゴやテーブルサンゴ、エダサンゴなどの群落によって織りなされる。
菅センター長はサンゴ礁が「きれいな状態で保たれている」と指摘する。与那国島は黒潮の上流に位置するため外洋との海水の入れ替わりが起きやすいほか、島に大きな川がなく陸からの土砂流出がほとんどないことが要因とみている。
島南部の比川地域の沖では「リーフトンネル」という地形も発達している。サンゴ礁が成長すると、海面に近い部分は光を求めて横に張り出す。溝の上部が閉じて洞窟のようになったものを指し、菅センター長は「これだけ高密度で存在するのはここだけ」と説明する。
与那国島の周辺は、海底の探査が進まず分かっていなかったことが多かった。菅センター長は、与那国島に健全なサンゴ礁があることを知ってほしいとし、「与那国の地形をさらに明らかにしていきたい」と抱負を述べた。
研究成果は、11月11~13日に石垣市で開催される日本サンゴ礁学会第25回大会で発表予定。