曽我ひとみさん「めぐみさんとお母さんが抱き合う姿を一日も早く」…5人帰国から20年

北朝鮮による拉致被害者5人の帰国から、15日で20年となった。「節目ではない」「いつも心にあったのは拉致被害者のこと」。地村保志さん(67)と曽我ひとみさん(63)は記者会見や集会で思いを明かし、未帰国の被害者救出を訴えた。
5人は、地村さんと富貴恵さん(67)、蓮池薫さん(65)と祐木子さん(66)の両夫妻、曽我さん。1978年7~8月に拉致され、2002年に帰国するまでの約24年間を北朝鮮で過ごした。
地村さんは地元・福井県小浜市で記者会見に臨んだ。「北朝鮮での24年の方が、まだ長い。あの24年は何だったんだろうなという思いだ」と話し、「拉致問題は解決していない。20年を節目や記念日ととらえることはできない」と強調した。
自身の帰国当初を「ゼロからの始まりで大変な不安があった。47歳からの社会復帰で、いろんな苦労があった」と振り返り、北朝鮮に残してきた3人の子どもが04年に戻るまでを「つらい時期だった。子どもたちが帰った後も、日本に慣れ、社会進出できるか心配だった」と明かした。
地村さんはこの日、小浜市内で、北朝鮮に残る拉致被害者の救出を求める署名集めにも立った。記者会見では、「帰りを待つ家族だけでなく、被害者本人も高齢化している。このままでは生きたまま奪還するのは難しくなる」と口調を強め、「啓発や署名活動など、できる範囲で(救出活動を)やっていく」と述べた。
曽我さんは、新潟市で1977年11月に拉致された横田めぐみさん(拉致当時13歳)の救出を求め、同級生らが市内で開いた集会に出席。「この20年間、いつも心の片隅にあったのは拉致被害者のことだった」と語った。
一緒に新潟県佐渡市から連れ去られた母ミヨシさん(同46歳)の帰国を待ち続ける曽我さん。めぐみさんとは北朝鮮で一時、同じ招待所で暮らし、「一緒に勉強したり、買い物に行ったり。笑顔がすてきで、妹のような存在だった。めぐみさんとお母さんが抱き合う姿を一日も早く見たい」と願った。
集会には、めぐみさんの母・早紀江さん(86)も電話で参加。「老骨にむち打って頑張ってきた。あと少し、あと一歩です。皆さんと頑張っていきたい」と力を込めた。