今冬の新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備え、厚生労働省は、二つの感染症を同時に調べられる抗原検査キットを約3800万回分確保したと公表した。発熱外来などでの需要の増加を想定し、8月からメーカーに増産要請していた。
新型コロナやインフルエンザを症状だけで見分けるのは難しい。同時検査キットは、鼻の粘液を使って約15分で、双方について感染の有無を判定できる。
昨年から保険適用されており、医療機関では既に使用可能だ。同時流行した時に、それぞれの検査キットで調べていると手間と時間がかかり、発熱外来の
逼迫
(ひっぱく)に拍車をかける恐れがあるため、厚労省は同時検査キットの必要性が高いと判断した。
ただ、新型コロナ単独の抗原検査キットは現在、薬局やインターネットで購入し自宅で使用できるが、同時検査キットは医療機関での使用に限られている。
政府が13日に発表した同時流行対策では、中学生~64歳の重症化リスクの低い人には、発熱しても基本的に自己検査するよう求めているため、同時検査キットの薬局・ネット販売を求める声も聞かれる。政府の規制改革推進会議も薬局・ネット販売を検討するよう求めている。
これに対し、厚労省は、〈1〉一般市民がキットを正しく使えない可能性がある〈2〉生産量が限られる中で市販すると医療機関への供給が滞る恐れがある――などの理由から、慎重な姿勢を示している。