老人ホーム暴行死、元介護士に懲役18年求刑 「酌量余地ない」

山梨県南アルプス市の有料老人ホームで2021年8月、入所者の女性(当時80歳)に暴行を加えて性交し、窒息死させたとして、強制性交等致死罪に問われた施設の元介護士、丹沢一貴被告(43)=市川三郷町上野=の裁判員裁判の論告求刑公判が14日、甲府地裁(三上潤裁判長)であった。検察側は懲役18年を求刑して結審した。判決は20日。
検察側は論告で女性の最期について「性の対象として陵辱された非業の死であり、被害結果は重大」と指摘し、「ゆがんだ性的動機に酌量の余地はない」と強調した。弁護側は被告が女性に人工呼吸などの救命措置を講じたことなどを挙げて「懲役14年が相当」とした。
12日の被告人質問で丹沢被告は事件前にも21年7月と8月、女性に2回にわたり性的暴行を加えていたことを明らかにした。2回目は事件同様に首をしめて意識を失わせたという。14日の公判では、女性の長女の意見陳述があり、長女は「穏やかで優しい人だった」と亡き母への思いを語った上、「母は魂までけがされて亡くなった。母の無念を晴らしてほしい」と被告に重い刑を科すことを望んだ。【宮田哲】