外国為替証拠金取引(FX)への投資名目で現金をだまし取った事件で、警視庁捜査2課は詐欺容疑で、住所不定、職業不詳の田辺佑弥容疑者(26)を逮捕したと発表した。FX詐欺を巡る逮捕者は12人目で、捜査2課は20都道府県の約50人から計約1億5000万円を詐取したとみて調べる。
逮捕容疑は、共謀し令和3年7月、長崎県の50代男性と神奈川県の40代男性に架空の証券会社代理店の社員を名乗り、「プロのトレーダーのトレードを体験できる」「月利10~15%」などと電話をかけ、投資名目で計約570万円を詐取したとしている。
捜査2課によると、詐欺グループは興味を示した人には、ロシアの会社が開発した投資用アプリをダウンロードさせ、海外の証券会社と称する「トレーディング・フォレックス」の口座開設も求めていた。アプリ上には運用状況が表示されるが、架空のものとみられ、投資に当てられた実態はなかったとみられる。
詐欺グループは表示を自由に操作できたとみられ、被害者から出金を求められるなどとすると、「バルスお願いします」などと合言葉を伝え、暴落させることで返金を免れようとしていたという。
「バルス」はアニメ映画「天空の城ラピュタ」に出てくる言葉から使っていたとみられる。
捜査2課は、表示を操作していた者など、ほかにも詐欺に関与した者がいるとみて捜査している。