2019年10月に焼失した首里城正殿(那覇市)の復元工事を始める「起工式」が3日、城郭内であった。沖縄の歴史や文化の象徴だった首里城を再建する「令和の復元」では、火災の教訓を踏まえ、自動で初期消火できるスプリンクラーなど高度な防火設備を設置。木材や塗料、赤瓦など随所に沖縄県産の資材を使用する。国が総工費約120億円をかけて実施し、26年秋の完成を予定する。
起工式には岡田直樹沖縄・北方担当相らが出席し、玉城デニー知事が「県民はじめ国内外の皆さまの思いの結実に向けた大きな一歩。焼失前より魅力ある首里城になるようしっかり(復元を)進めたい」と祝辞を述べた。
式に先立ち、城郭外では正殿に使う「御材木(おざいもく)」を首里城に運び込む「木遣(きやり)行列」の祭事があり、琉球王国時代の衣装をまとった参加者が、はりに使われる樹齢約100年のオキナワウラジロガシ(長さ約9メートル)とともに行進した。
首里城の創建年代は不明だが、最古の遺構は14世紀のものとされ、琉球王国の政治や経済、文化の拠点だった。太平洋戦争末期の沖縄戦で焼失後、沖縄の日本復帰から20年を迎えた1992年に正殿が「平成の復元」で再建された。しかし、19年10月31日未明、正殿から出火し、計6棟が全焼した。
火災後、復興のための寄付金が国内外から55億円超集まった。うち約24億円は県産木材や赤瓦の調達、装飾品の復元などに充てられ、残りは正殿周辺の北殿や南殿などの復元に使われる。「見せる復興」を意識し、正殿跡前の広場に建つ2階建ての木材倉庫では作業の様子をガラス越しに見学することができる。【比嘉洋】