自殺した中1の小6時担任、自殺前に別の児童に暴行し書類送検…市教委も把握

2019年4月に自殺した熊本市立中学1年の男子生徒の小学6年時の担任で、原因を調査した市の第三者委員会に不適切な指導があったと指摘された男性教諭が、生徒の自殺前に別の男子児童に暴行したとして、熊本区検に書類送検されていたことがわかった。区検は18年9月に不起訴(起訴猶予)とし、市教委も把握していた。市教委は男性教諭を年内にも処分する方針。
市教委などによると、教諭は小6の担任だった18年4月、入学式の準備中に私語をしたとして、自殺した生徒とは別の児童の胸ぐらをつかんで引っ張り、後に謝罪した。児童は「用具入れに打ち付けられた」と訴えた。
児童は同月、全治1週間の首の打撲などと診断され、保護者は熊本県警に暴行容疑で被害届を出した。教諭は書類送検され、保護者によると、区検から9月21日付で起訴猶予にしたことを知らせる通知文が届いた。
自殺した生徒はこの児童と同じクラスだった。第三者委の報告書によると、教諭の指導を目撃し、自身も直接叱られてストレスがかかっていた。自殺の一因になったとする重篤な抑うつ状態を引き起こしたのも、「不適切な指導が影響した蓋然性が高い」としている。
市教委はすでに、書類送検された事案も含め、教諭の体罰や暴言などが40件あったと認定した。検察の処分についても教諭から聞き取っていたが、「複数の保護者から、ほかの事案とまとめて処分してほしいとの要望があり、処分を決めていなかった」としている。
児童の母親と他の保護者は19年3月、教諭の処分を求める嘆願書を市教委に提出したが、教諭は現在も別の市立校で勤務している。
母親は15日、報道陣の取材に応じ、「教諭は前任校でも体罰が問題になっていた。市教委や学校にもっと早く対応してほしかった」と訴えた。市教委の担当者は取材に対し、「もっと早く止めていれば、生徒の自殺を防げたかもしれない」と謝罪の言葉を述べた。