世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求に関し、政府が過去2件の請求とは別スキームを模索していたことが21日、関係者への取材で分かった。過去の請求時は所轄庁と検察官が請求当事者だったが、政府はより効果的な請求を目指し、別の請求者を立てられないか検討。しかし従来スキーム以上の効果が得られないと判断し、断念したとみられる。旧統一教会問題が〝首相案件化〟し、速やかな結果が求められる中での別スキーム模索は、政府の焦りの表れといえる。
宗教法人法は、所轄庁、利害関係人、検察官が裁判所に解散命令を請求できると規定している。過去2件の請求のうち、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は事件発生直後に所轄庁の東京都知事と捜査を担当する東京地検検事正が申立人となった。霊視商法詐欺事件で幹部らが摘発された明覚寺(和歌山県)については、幹部の実刑判決後に、所轄庁の文化庁が申し立てた。
一方、旧統一教会の場合は刑事事件や有罪判決が見当たらないため、解散命令請求で検察当局の関与や刑事裁判資料による立証は期待できない。
関係者によると、政府は今回の請求にあたり、過去2件では請求に関与しなかった利害関係人による請求が可能か模索した。
学説では、利害関係人として、対象の宗教法人の債務者、債権者、信者が例示されている。関係者によると、政府内では利害関係人の対象を広げ、債務者、債権者、信者以外に、旧統一教会の違法性が立証可能な請求者が存在するかの検討が行われたという。
ただ、スピード感が求められる中、利害関係人の対象を広げる作業は早々に諦め、所轄庁の文科相による請求という従来スキームに傾いていったとみられる。政府関係者は「解散命令請求という明確なゴールが設定される中、綱渡りのスキーム作りを強いられている」と現場の苦悩を代弁する。
今後、質問権行使で材料がそろえば、従来スキームに沿って永岡桂子文科相が解散命令請求を行うことになる。