2019年に起きた医療事故について、11月29日、大阪の大学病院がようやく記者会見を開き、謝罪しました。 (大阪公立大学医学部附属病院 中村博亮病院長) 「入院患者様が一時心肺停止状態となり低酸素脳症になる医療事故が発生いたしました。深くおわび申し上げます」 3年も前に発生した医療事故について会見で説明する異例の事態。病院側の対応に問題はなかったのでしょうか。 2019年、右手首を骨折し、当時の大阪市立大学病院で全身麻酔で手術を受けた82歳の男性。しかし、手術後に興奮状態となり、医療器具を外そうとしたため医師は鎮静薬などを投与しました。 (被害男性の長男) 「『手首の骨折やから、危険性がないから経過が良ければ翌日に退院できる』と。1時間もせんと帰ってくると言われていたけど、2時間半くらいしてから戻ってきたんかな、大いびきかいて(寝ていた)」 しかし、男性はほどなくして心肺停止に。病院によりますと、鎮静薬などを多めに投与したことを医師が看護師に説明せず、さらに、ナースステーション内の脈拍や呼吸などを確認するモニターと病室の機械が接続されていなかったため、容態の変化を見逃したということです。男性は今も意識不明のままです。 病院側は医療事故であることを認めて家族に謝罪しましたが、院内のルールに反して報道機関へは公表せず、ホームページに掲載しただけにとどめていました。一連の対応に男性の家族は不信感を募らせたのです。 (被害男性の長男) 「どうにかして隠し通そうとする姑息なやり方、それに怒りを一番覚えていますね」 重い腰を上げて、ようやく病院側が開いた会見。男性の家族との“ズレ”は、弁護士同士の話し合いが原因だったと主張しました。 (大阪公立大学医学部附属病院 中村博亮病院長) 「本来はもっと早い時期に報道機関の皆様にお伝えすべきだったと思っておりますが、(当時の)弁護士同士の話し合いの中でこういう同意を得たのだと、これで一定の公表ができたと誤解をしまして、隠ぺいという感覚はございませんでしたし、病院としてもそういう感覚はなかったと思っております」 会見を受けて、男性の長男は次のように述べました。 (被害男性の長男) 「この事故が起こった当初から、これはマスコミに公表せなあかんぞと口を酸っぱく言っていたので、それがきょうこういう形で実現できて本当にうれしいです」 仮に家族からの求めがなかったとしても病院側は速やかに公表すべきだったのではないでしょうか。