平成24年に山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルで、天井板が崩落し、9人が死亡した事故から10年を迎えた2日、追悼慰霊式が行われた。事故が起きた午前8時過ぎに、遺族や関係者らが、トンネルの東京側に設置された慰霊碑に黙(もくとう)し、献花した。その後、事故現場から約8キロ離れた初狩パーキングエリア内で、犠牲者の冥福を祈ると同時に再発防止を誓った。原因究明が進まない中、遺族からは「10年は区切りにはならない」といった声が聞かれた。
中日本高速道路が開いた追悼慰霊式で、小室俊二社長は「あってはならない事故を引き起こし、心から深くおわびします」と謝罪し、「事故を風化させず、安全性向上にグループをあげて取り組む」と語った。
遺族らは、中日本高速道路に独自の事故原因調査や情報の公開を求め続けているが、これに応じないことに不信感を募らせている。この日は事故で犠牲となった石川友梨さん(当時28)の父、信一さん(73)が、中日本高速道路や国土交通省関係者らに、「勇気をもって情報公開してほしい」と懇願する場面もあった。
事故は24年12月2日、中央自動車道上り線笹子トンネルでコンクリート製の天井板が約140メートルにわたって崩落し、車3台が下敷きになり、東京都内のシェアハウスに住む27~28歳の若者5人を含め、男女9人が死亡、3人が重軽傷を負った。業務上過失致死傷容疑で書類送検されるなどした事故当時の社長ら10人は不起訴処分となった。このうち2人は不起訴不当と検察審査会で議決されたが再び不起訴となり、令和2年4月捜査は終結した。