NPO法人「消費者支援機構関西」(大阪市)が家賃債務保証会社「フォーシーズ」(東京都港区)に、賃貸住宅の賃借人との間で交わす契約条項の使用差し止めを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は12日、家賃を2カ月以上滞納するなどの要件を満たせば建物の明け渡しがあったとみなす同社の条項を違法と判断し、使用の差し止めを命じた。堺徹裁判長は「条項は(民法の)信義則に反して消費者の利益を一方的に害している」と指摘した。
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「賃借人の居住の権利を著しく制限する『追い出し条項』は権利侵害だと正面から答えてくれた」。家賃保証会社側に厳しい姿勢を示した12日の最高裁判決を受け、原告のNPO法人「消費者支援機構関西」の弁護団は記者会見で意義を評価した。
追い出し条項が問題視されるようになったのはリーマン・ショック後の2010年ごろ。賃借人が家賃を1カ月でも滞納すれば無断で賃貸住宅の鍵を付け替え、家財を無断搬出する保証会社も現れた。同機構によると、賃借人側が起こした訴訟で保証会社への賠償命令が相次いだことで、家賃滞納以外の要件を契約条項に加えて対策する業者も登場。同機構はこうした業者に個別に条項の見直しを申し入れたが、今回の訴訟の相手となったフォーシーズは応じず、16年10月に提訴に踏み切った。同機構の藤井克裕理事長は12日の会見で「他の保証会社も今回の判決に沿った対応をする必要がある」と話した。
賃借人からの相談に応じている全国借地借家人組合連合会によると、契約条項には含めず「家賃滞納が続けば退去する」との念書を賃借人に書かせる保証会社もあるという。国土交通省によると、保証会社を利用するのは賃貸管理会社の約8割。同省は17年、法令順守のための研修の実施や、相談・苦情に応じる体制の整備を呼び掛け、保証会社に業務の適正化を促している。
京都女子大の岡田愛教授(民法)は「これまで明け渡しの違法性が個別に争われてきたが、今回契約条項そのものが違法と判断された。一般に立場が弱い消費者の救済につながる判決だ。業者自ら明け渡しの要件を定めその実行の可否を判断すれば、恣意(しい)的に明け渡しが行われる恐れがある。最高裁は不当な明け渡し防止の必要性を重視したと言える」と語った。【遠山和宏、遠藤浩二】