高齢化により全国で被爆者団体の解散が相次ぐなか、広島市に隣接する広島県坂町に29日、被爆者や2世、支援者による新たな組織「坂町原爆被害者友の会」が発足する。昨年解散した地元の被爆者団体の活動を継承することが目的で、会長に就く被爆2世の池田節男さん(70)=同町=は「核兵器廃絶に向けた運動を途絶えさせない」と意気込む。
坂町には原爆投下後、広島市の宇品港などから負傷した被爆者らが運び込まれた。町内の学校が救護所となり、住民らが手当てに当たったため、残留放射能により2次的に被爆した人が多いという。1950年代に、被爆者による「坂町原爆被害者の会」が発足し、広島原爆が投下された8月6日には毎年慰霊祭を営んできた。
当時会長だった男性被爆者(87)によると、町内の約550人の被爆者のうち約400人が所属したが、昨年7月に解散。世話役を担った役員の多くが80歳を超え、「体力的にも気力的にも、これ以上続けるのは厳しいと感じた」と振り返る。
池田さんは、95歳で他界した母國世(くによ)さんの代理として2016年8月、総会に出席し、初めて会の活動に触れた。「会計処理や会員への連絡が滞り、組織運営ができていなかった」。手伝いを名乗り出たが、伝統的に被爆者しか会員になれず、かなわなかった。
國世さんは爆心地から約1・6キロで被爆、兄弟4人の行方は今も分からない。生前、水を求めて多くの人がさまよい、燃えさかる街の様子を「恐ろしかった」と話していた。
「運動を何とか引き継がんと」。解散に危機感を抱いた池田さんは県被団協の後押しもあり、2世や支援者も参加できる団体の設立を決意。町内の被爆者らを人づてに訪ね歩き、被爆者31人、2世8人、支援者4人の計43人がメンバーに加わった。4歳で被爆し、現在は病気がちで1人で歩くことが難しい車地(くるまぢ)キヨ子さん(78)は「次の世代が頑張ってくれることがうれしい」と期待を込める。
友の会は、被爆者の生活相談会や平和教育の活動を予定するが、当面の目標は会員を増やすことだ。池田さんは「被爆者の思いを受け継ぎ、若い世代にバトンをつないでいきたい」と決意を語る。【小山美砂】