11都県で1000万円超の高級議長車、知事車の低コスト化の一方で…前例踏襲と格式や品位重視か

山口県が貴賓車として購入し、事実上、県議会議長が使用しているトヨタの最高級車「センチュリー」を巡る訴訟で、山口地裁が購入を違法と認定した(県が控訴)。読売新聞が全都道府県知事と議長の公用車を調べたところ、知事車の低コスト化が進む一方、議長車は購入額・リース総額1000万円超の高級車が11都県に上り、格式が重視されている実態が浮き彫りになった。識者は「知事と違って前例踏襲に陥っている可能性がある」と指摘する。
■知事車は実用性重視でミニバン人気

調査は11月下旬~今月上旬に各都道府県を対象に実施し、知事車と議長車について購入・リース額、選定理由などを尋ねた。
知事車は財政悪化に伴う高級車採用への批判の高まりから低コストの車種への切り替えが進んでおり、購入額やリース契約期間の支払い総額が1000万円を超えたのは岩手、岐阜、静岡、愛知の4県だった。
実用的なミニバンタイプが36都道府県と圧倒的で、中でもトヨタ・アルファードは25都道府県が採用した。「移動中も公務を行うためスペースが必要」(茨城県、日産車)などを理由に挙げ、政策を担う多忙な知事の「職務スペース」となっているようだ。
かつて主流だったセダンタイプは9県にとどまり、センチュリーはトヨタのお膝元・愛知県だけ。石川県は今年、脱炭素社会推進の観点からハイブリッド車のアルファードに変更。兵庫県では見直しを公約に掲げ初当選した斎藤元彦知事が、リース料約3分の1のアルファードに替えた。
■品位を重視

これに対し、議長車は35都道府県がセダンタイプだった。購入額・リース総額1000万円超は11都県で、このうち5県は2000万円を超えた。センチュリーも埼玉、静岡、山口、徳島など7県が採用していた。
理由は「安全性、身体的負担の軽減」(愛媛県、トヨタ車)、「安全性、快適性、県議会の代表としての品位を総合判断」(岐阜県、トヨタ車)など。皇族来県時などの貴賓車を兼ねる自治体もあり、品格を要する理由として挙げていた。
議長車の車種も行政側に決定権があるが、議会事務局が議長ら議会側と相談して決めるケースもある。広島県は、地元企業のPRを兼ねて知事車をセンチュリーからマツダのSUVなどに変更したが、議長車はセンチュリーを継続して使う。同県議会事務局は「同等の車種がマツダにはなかったため」とする。
■「貴賓車」を自宅送迎にも使用

山口県の村岡

嗣政
(つぐまさ)知事が乗るマツダ・CX―8は全国で2番目に低い購入額(370万円)だが、訴訟では、議長が使うセンチュリー(2090万円)購入を違法とされた。
県は貴賓車名目で購入したが、皇族らの来県時の利用は2年4か月で7日間。年間約160日は柳居俊学議長の片道約120キロの自宅送迎や公務に使われていた。県は議長上京時も最高ランクのハイヤーを手配し、今年度の支出額は10月中旬までに130万円に上った。「市民オンブズマンやまぐち」の広岡逸樹代表は「県の

忖度
(そんたく)は度を越えている」と憤るが、県は「慣例通りで、過剰な水準だとは思わない」と説明する。
大分県は知事車と同じトヨタ・レクサスだが、購入額は知事車の約1・6倍。購入年が違い、グレードに差があるという。堤栄三県議(共産)は「税金の重みは行政も議会も同じなのに。議決権を持つ議会に遠慮し、方針転換できないのではないか」と指摘する。
変化の兆しもある。千葉県は12月、議長車をセダンからリース料がほぼ半額のミニバンに切り替えた。県と議長が「このご時世に適切な価格なのか」と議論を進めていたという。
長野県立大の田村秀教授(行政学)の話「県民の目と実用性を意識して柔軟に対応してきた行政と、前例踏襲を続けてきた議会の差が表れているのではないか。安ければいいというわけではないが、議会側も財政事情を踏まえて柔軟に検討する必要がある」

◆「センチュリー」を巡る訴訟=貴賓車として購入した山口県の公金支出は違法として、元県職員が県に対し、村岡知事に購入費2090万円を全額請求するよう求めた住民訴訟。山口地裁は11月、購入の検討が「あまりにも不十分」として、元県職員の訴えを認めた。県は「判決に疑義がある」と控訴した。