昨年の台風21号による強風で流されたタンカーが、関西国際空港の連絡橋に衝突した事故で、海上保安庁の関西空港海上保安航空基地は27日、事故を防ぐ適切な措置を取らなかったとして、当時の男性船長(41)を業務上過失往来危険の疑いで書類送検した。
事故は昨年9月4日に発生。関空島の東約2・5キロで停泊していたタンカー「宝運丸」(2591トン)は、いかりを下ろしたまま強風で流される「走錨(そうびょう)」状態になり、連絡橋に衝突して大破した。船長ら11人にけがはなかった。関空島では当時、観測史上最大の瞬間風速58・1メートルを記録するなど、海上は強風で荒れていた。
同基地は、船長が風下に連絡橋がある海域で、二つあるいかりのうち一つしか使わずに停泊し続けた結果、走錨を防げずに衝突したと判断した。船長の認否については明らかにしていない。
この海域を所管する第5管区海上保安本部は台風などの荒天時、関空島から5・5キロ以上離れた海域に避難するよう冊子などで推奨していたが、船長は知らなかったという。同本部は事故後、荒天時に5・5キロ以内での航行を禁止している。
事故で連絡橋が損傷して通行できなくなり、関空の利用客ら約8000人が一時孤立した。連絡橋は今年4月に全面復旧している。
タンカーを所有していた日之出海運(福岡市)の清水満雄社長は「想定を超える強風で、いかりを二つ使っても走錨を防げなかった可能性がある。書類送検は残念だ」と話した。【鶴見泰寿、堀祐馬】