SNSに投稿された殺人、ストーカー依頼の削除要請へ 警察庁

ネット交流サービス(SNS)などに投稿された殺人やストーカー行為の依頼を募る投稿について、警察庁は、民間委託している事業を通じてSNS運営事業者に削除要請する方針を決めた。安倍晋三元首相が2022年7月に銃撃されて死亡した事件を受け、銃器や爆発物の製造情報の削除要請は決めていたが、生命・身体に危害を加える危険性や緊急性が高い投稿を広く対象に含めることにした。23年3月をめどに実施する。
警察庁によると、「有害情報」として新たに削除要請の対象となるのは、拳銃の譲渡等▽爆発物・銃砲等の製造▽殺人等▽臓器売買▽人身売買▽硫化水素ガスの製造▽ストーカー行為等――の7類型。現時点では自殺勧誘のみが対象となっており、大幅に増えることになる。
警察庁は近年、容疑者らがSNSを通じて犯罪に関わる情報を交換するケースが急増していることを受け、拡充を決めた。
新たな指定により、「依頼をお待ちしています。殺人OK」「一緒に殺しましょう」などは削除要請の対象となる。具体的に名前などを挙げて「ストーカーをしてほしい」と依頼するケースも念頭に置く。人身売買では、「家出少女」など事実上の支配下に置かれていることが分かる表現があった上で、「売ります」「買います」といった売買を意味する言葉がある場合が対象となる。
銃や爆発物については、3Dプリンターなどを使った拳銃の設計図や、化学薬品の調合方法などが考えられ、エアソフトガンなどでも金属製の部品と交換することで殺傷能力を持つ場合は拳銃に該当すると判断される可能性もあるという。
銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(42)=殺人容疑で送検=は、ネット上の動画を見て銃を手作りしたなどとされる。
警察庁は06年から、民間事業者に委託する「インターネット・ホットラインセンター」で、一般の利用者などからネット上の違法・有害情報を受け付けている。今回、新たに対象となる7類型は当初、委託業者がサイト管理者に削除要請する対象になっていたが、件数が少ないことなどを国の行政改革推進会議で指摘され、16年度からは「有害情報」の指定そのものを取りやめていた。
だが、17年に神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件で、容疑者がSNS上で自殺をほのめかした投稿者を誘い出していたことが判明。自殺勧誘については18年1月から「有害情報」と定め、削除要請するようになっていた。
23年度当初予算案にサイバーパトロールを委託している民間事業者の人件費など9700万円を計上しており、23年4月以降は人員を拡充して対応を強化する。【松本惇】