南海トラフの後発地震に「異次元の対策」必要 巨大地震に連動、列島どこでも起きる恐れ 自宅避難は倒壊リスク大!1家庭1セットのテント準備を

東北大や東京大、京都大の研究チームは、マグニチュード(M)8~9級とされる南海トラフ巨大地震の発生後、1週間以内に同規模の後発地震が起きる確率が2・1~77%と平時の99~3600倍に高まると英科学誌に発表した。東西に長い震源域の片側でM8・0以上の地震が起き、もう一方の側で後発の巨大地震が起きる恐れが高まる「半割れ」を主に想定したという。
政府も後発地震の注意喚起をしており、2019年に「南海トラフ地震臨時情報」、昨年12月には「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用を開始した。
災害史に詳しい立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学氏は、巨大地震が連動する危険性について「(南海トラフのような)海溝型地震だけでなく、内陸直下型地震でも断層のほつれ目から横に広がり連動して起きる可能性がある。列島どこでも起きる」と警鐘を鳴らす。
16年の熊本地震ではM6・5の2日後、M7・3の揺れが発生。いずれも最大震度7を観測し、被害が拡大した。「熊本地震以降、2回目の規模が大きくなるパターンが顕著に認識された」(高橋氏)という。
建造物倒壊の懸念もある。国土交通省が設置した「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の資料によると、震度7を2回観測した益城町中心部では、1981年以前の旧耐震基準の木造建築物の倒壊は214棟だったが、新耐震基準以降の倒壊も83棟だった。
熊本地震後に現地調査に訪れた元麻布消防署長の坂口隆夫氏は「耐震基準は2~3回という複数の地震を想定していないので、地盤が軟弱で土台が損壊する場合もある。新基準でも決して安心はできない」という。
断続的な地震の場合、自宅避難はリスクだという。坂口氏は「熊本では前震の段階で『これ以上大きな地震は来ない』と考えた人が多かっただろう。余震を恐れて屋外で難を逃れた人もいたが、2回目の地震で倒壊し、人的被害が出た家屋もあった」と指摘する。
後発地震に備えて各家庭で具体的に必要な備えについて前出の坂口氏はこうアドバイスした。
「テントなどは1家庭1セットは持っておくとよい。自家用車にも最低限2リットルの水を1箱程度はトランクなどに備蓄すべきだ。車は避難時に暖をとれる上、スマホなどの充電も可能になる。ガソリンの残量が半分になったら満タンにするよう日々心掛けるべきだ」
巨大地震の発生直後、同規模の地震が立て続けに襲う「後発地震」の脅威が注目されている。近い将来に予想される南海トラフ巨大地震でも後発地震の発生確率が急上昇する研究も公表された。南海トラフ以外の地域も例外ではなく、これまでの防災の常識を覆す「異次元」の対策が必要となる。