日本学術会議の歴代5会長が14日、政府による学術会議の改革方針について「会員選考の自律性を毀損(きそん)するものでしかない」と反対し、岸田文雄首相に再考を促す声明を連名で公表した。学術会議の自主性に関わる問題として、任命拒否問題の解決も求めた。
5人は、1997年以降に会長を務めたいずれも東京大名誉教授の吉川弘之、黒川清、広渡清吾、大西隆の各氏と京都大前学長の山極寿一氏。
この日は吉川氏を除く4人が日本記者クラブ(東京都)で記者会見(オンラインを含む)した。任命拒否が起きた当時の会長だった山極氏は「岸田首相は任命拒否を『終わったこと』としているが、決して終わっていない。今の政府案は、任命拒否がどういう理由で行われたかを根拠にしておらず、議論の進めようもない」と述べた。
改正法案で会員選考に第三者を関与させることについて、広渡氏は「首相の任命の前にチェックさせて前さばきをすることになる。菅(義偉)前首相による任命拒否を正当化して、制度として組み込むことだと明らかになってきた」と指摘。大西氏は「学術会議の独立性は法律に書かれているが、第三者の関与が生じれば、それが疑われることになる。今までのようにアカデミーとして海外から評価を受けられるかは危うい」と懸念を示した。【池田知広】