【ミュンヘン=海谷道隆】林外相は18日夜(日本時間19日未明)、ドイツ・ミュンヘンで韓国の 朴振 (パクチン)外相と会談した。日韓間の最大の懸案である元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題での議論を政治レベルに引き上げ、詰めの協議を行った。北朝鮮対応で緊密に連携する方針も確認した。
対面での日韓外相会談は昨年9月以来。約35分間の今回の会談では、元徴用工問題と、18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)級1発を発射した北朝鮮問題が主な議題となった。
日韓両政府は、元徴用工問題について、韓国政府傘下の財団が被告の日本企業の賠償を肩代わりし、決着を図る方向で調整している。両外相は、残る相違点について、双方が受け入れ可能な落とし所を探った。
結論には至らなかったとみられるが、両氏は、日韓関係を健全な関係に戻すべく、懸案の早期解決に向けて外交当局の各レベルで緊密な意思疎通を継続することで一致した。韓国外交省は、両外相は元徴用工問題を含む懸案について、「構築してきた信頼を土台に真剣で深みのある意見」を交わしたと発表した。
元徴用工問題を巡っては、日本政府は1965年の日韓請求権・経済協力協定に基づき、問題は解決済みとの立場だ。ただ、韓国側は、日本の被告企業による何らかの関与などの「誠意ある呼応」(自発的な取り組み)を呼びかけている。韓国の原告の一部は肩代わり案に反発しており、韓国政府は国内世論を抑える観点から日本側の歩み寄りに期待を寄せている。