日本統治下の台湾で生まれ育ちながら、戦後に日本国籍を喪失したとされたのは不当として台湾人の男性3人が日本国籍を有していることの確認を国に求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、3人の上告を棄却する決定をした。16日付。請求を棄却した1、2審判決が確定した。
原告は、台湾出身の両親の元に生まれ、日本国籍を取得した男性3人。
日本が台湾の領有権を放棄することなどを定めたサンフランシスコ平和条約や、日本と中華民国(台湾)が結んだ日華平和条約が昭和27年に発効したことに伴い、日本国籍を喪失したとの扱いを受けてきたことについて「条約の解釈を誤った法的根拠に基づかないものだ」と主張していた。
昨年1月の1審東京地裁判決は、日華平和条約により台湾系日本人は日本国籍を喪失したと判断した昭和36年の最高裁判決を踏襲した上で、「領土変更に伴う国籍の変動は条約で定められるのが通例で、そうした事態は憲法自体が認めている」などと指摘。2審東京高裁も支持した。