大雪で立ち往生、JR西日本社長が陳謝「備えや対応、全く不十分だった」

1月24日の強烈な寒波と大雪によりJR京都線などで15本の列車が駅間で立ち往生した問題で、JR西日本の長谷川一明社長は20日の定例記者会見で「数々の不手際と降雪・積雪に対する事前の備え、対応が全くもって不十分だった」と改めて謝罪した。雪を甘く見たことが問題を引き起こした最大の要因と捉え、トラブル時に現場の判断を最優先にする運用に変更していくことを明言した。
長谷川社長は冒頭、「長時間にわたりお客さまに不安な状況を強いてしまい、大きなご負担をかけた」などと陳謝と反省の言葉を繰り返し、約10分間で5度も頭を下げた。
最大の問題として挙げたのは、「10年に一度」と言われた寒波と雪への備えだった。長谷川社長は「雨や台風などの災害には対処できていたが、雪には機敏に反応できなかった。最悪の事態を想定してどれだけ大きく構えるかが重要だが、全くできていなかった」と述べた。
また、立ち往生から60分以上たっても乗客を降車させなかったことについて、「最前線の声を的確に生かすことができなかったという痛切な反省を踏まえ、目の前のお客さまの状況に最善と考えることを即断する鉄道オペレーションに改善する」と述べた。
当時は多数の列車が同時に立ち往生し、運行指令を担っていた指令所が混乱。体調不良者が続出していた列車の車掌らは、乗客を降ろす判断を仰いでいた。
長谷川社長は過去の列車事故などを踏まえ、「これまで失敗しないよう社員に求めてきたが、それが社員の積極的な行動を阻害することにもなった」と指摘。「現場の判断を大事にし、社員の実践力を力に変えることが必要と感じた」と説明した。
1月24日は、JR山科―島本間で特急を含む15本の列車に約7000人が最大約10時間閉じ込められた。JR西日本は17日、国土交通省近畿運輸局に原因分析と再発防止策をまとめた報告書を提出した。