モノレール増便、メーテルに花…松本零士さんゆかりの地で追悼広がる

さらば、小倉よ――。「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などのヒット作を生み13日に85歳で亡くなった漫画家、松本零士さんとの別れを惜しみ、少年期を過ごした北九州市で追悼の動きが広がっている。23日にはゆかりの市漫画ミュージアムに献花コーナーが設けられ、作品のキャラクターを描いたモノレールも増便された。
松本さんが初代名誉館長を務めた市漫画ミュージアム(小倉北区)は出入り口付近に、献花台と来館者から受け付けるメッセージボードを設置した。午前中から多くの人が訪れ、花をたむけて手を合わせた。「たくさんの名作をありがとうございます」「これからも作品を読み続けます」。あふれる思いを紙に書き込んでいた。
小倉南区の小早川穂香さん(17)は「銀河鉄道999は全巻持っている。争うことよりも生きることが大切ということを学んだ」と涙を流した。門司区の植前美津子さん(40)は子ども2人とメッセージを書いた。「長年、北九州のことを思ってくださった感謝を伝えに来た。未来を感じる物語が多く、この先も忘れずに作品を見続けたい」
JR小倉駅北口に設置されている銀河鉄道999に登場する「メーテル」などの銅像の周りにも花がそなえられ、通行人が写真を撮影したり、手をあわせたりしていた。
小倉駅を発着する北九州モノレールは、開業25年の2010年から銀河鉄道999のキャラクターを描いた「銀河鉄道999号」(4両編成)を運行している。松本さんがデザインし車両にサインも書いた。訃報を受け急きょホームページで運行時刻を公表し23日に増便した。長期検査に入る前の26日までのダイヤを掲載している。
小倉北区の赤星守さん(85)と妻ツヤ子さん(83)は車両を撮影しようと小倉駅前で待ち受けた。「同い年の地元の偉人が旅立ってしまい残念。全国へ北九州を有名にしてくれて感謝の思い」。天空を走るように頭上を通る999号を見つめた。【林大樹】