川崎市役所の新本庁舎への移転に伴い、職員約2600人分の机、いすなどの調度品が不用になる見通しであることが、21日までの市の試算でわかった。市は「できる限り再利用に努める」としているが、多くは産業廃棄物として捨てられ、1億円前後の処分費用がかかる見込みという。
建設中の新本庁舎(地上25階、地下2階建て)は6月に完成予定で、10月から各部署の移転が始まる。大半のフロアで複数の職員が共用する「グループデスク」(長机)を導入することになっており、既存の机、いすを再利用できる場所は限定的だ。個人ロッカーや部署ごとの書類棚なども刷新し、既存品は不用となる。
市は、オフィス調度品のうち状態の良いものは市役所内で活用を図る方針で、自治会関係者らを招いて机などの持ち帰り希望を募ることも検討。ただ、どの程度まで再利用できるかは不透明だ。市本庁舎等整備推進室の担当者は、調度品の廃棄費用の見通しを「1億円の大台を超えるかどうかは微妙な状況」とする。
新本庁舎完成が近づいた今も、市は「不用品の〇%をリサイクルする」といった数値目標を設定していない。大量廃棄が環境に及ぼす負荷も「検討していない」(同室)と認める。「環境先進都市」を掲げる川崎市だが、自身の廃棄物対策は出足が鈍いようだ。