阿武町誤給付、25歳男に有罪 山口地裁「カジノで遊ぶため」

山口県阿武町が誤給付した新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円をオンラインカジノで使おうとインターネットバンキングにアクセスし、全額を別の口座に振り替えたとして電子計算機使用詐欺罪に問われ懲役4年6月を求刑された田口翔被告(25)に対し、山口地裁は28日、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。
小松本卓裁判官は「オンラインカジノで遊ぶ地位を得るために犯行に及び、法規範を軽視する態度も看取できる」と批判した。被害額全てが阿武町に補填され、被告が反省の言葉を述べていることから減軽し、執行猶予を付けた。無罪を主張している弁護側は不服として即日控訴した。
判決は、誤って振り込まれた事情を銀行側に告知せずに払い戻すことを欺罔行為とした最高裁判例を引用。被告が誤給付と認識しながら告知せず正当な権限がない状態で振り替えを依頼したのは、虚偽情報の入力に当たり電子計算機使用詐欺罪は成立すると判断した。検察側の主張を支持した。