自民党は2月26日、第90回党大会を開催。4月の政治決戦となる統一地方選と衆参5補欠選挙の「必勝」に向け、総裁の岸田文雄首相が「国民政党、責任政党として、一致結束して勝ち抜く」と高らかに宣言した。
ただ、党執行部が期待した連合会長も土壇場で参加を拒否したとされ、連立与党・公明の山口那津男代表も来賓あいさつだけでそそくさと退席。ネットでの生中継も視聴者数は限られ、政治的重要度とは裏腹に、国民の注目度の低さが際立った。
にじむ公明党のすきま風
今回の党大会は午前10時半から正午過ぎまで、品川駅近接のグランドプリンスホテル新高輪の大宴会場で開催。冒頭に演壇に運び込んだ「福島の奇跡のピアノ」による東日本大震災復興支援ソングの「花は咲く」の演奏でスタート。
続いて党歌「われら」を流しながら、1955年自民結党時のビデオから岸田総裁の衆参選挙での演説、さらに故安倍晋三元首相のさまざまな発言や表情を追悼し、画面いっぱいの「新たな挑戦へ」を映し出すという演出だった。
司会役の鈴木憲和青年局長と松川るい女性局長は、そろって和服で登壇。恒例の国歌は全員が起立する中、17歳の会百花 (かい・ももか)さんが独唱した。さらに党歌は壇上で若い男女が手話で伝え、「おじさんばかりの党ではない」ことをアピールした。
これに続く来賓あいさつは山口氏と十倉雅和・経団連会長。とくに山口氏は「自公連立はもう23年にもなる」と自公両党の絆の深さを力説する一方、故安倍氏の非業の死に触れ「安倍さんを失ったのは痛恨の極み。二度と起こしてはならない」と訴えた。ただ、「多忙」を理由に出番が終わるとそそくさと退席し、「自公すきま風」の強まりもにじませた。
さらに、自民党が水面下で出席を働きかけていた芳野友子連合会長の山口、十倉両氏に続く登壇も、結局実現しなかった。連合内部で「統一地方選が戦いにくくなる」との懸念が噴出し、自民党も正式な招待を見送ったとされるが、党執行部は落胆を隠せなかった。
そうした中、党大会の進行は予定以上のスピードで進み、茂木敏充幹事長の党務報告、小渕優子組織運動本部長の運動方針発表などを受けて、大トリとなる岸田首相の総裁演説が始まったのは予定より5分早い午前11時半だった。
ただ、15分間の予定だった総裁演説は、「歴史の転換点に立ち、もう一度(政権に復帰した)10年前の原点に立ち戻って、徹底的に国民の声に向き合う」「民主党政権で失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻す」などと声を張り上げるなど、約26分と大幅な時間超過。岸田総裁の音頭で「勝つぞ」とこぶしを振り上げて三唱し、正午過ぎに閉会した。