前橋市で日本語学校を運営する学校法人「ニッポンアカデミー」と、同学校に通うウクライナからの避難者の一部が、学費の支払いをめぐり対立している。避難者を支援している弁護士によると、昨年11月以降、16人の相談に応じ、この一部が東京都内の日本語学校に移ったり、身元保証人を変えたりした。
日本語学校に通うルニン・ブラディスラブさん(24)は27日、群馬県庁で記者会見し、「入国の前後、『学費は6か月間は無料』と説明を受けたが、請求された。学校側は約束を果たしてほしい」と訴えた。
ニッポンアカデミーの清水澄理事長も24日に県庁で記者会見した。それによると、昨春以降に38人を受け入れ、身元保証人も引き受けたが、経済的に自立したと判断した約20人に、昨年10月から半期分の学費30万円弱を請求。このうち約10人が支払いを拒否した。
一方、ルニンさんは会見で、避難者たちは法人側から、来日時期に応じて学費を3か月~1年間無料にすると説明を受けたと主張した。ルニンさんは昨年7月に来日し、新型コロナウイルス対策の隔離期間などを経て、同9月から学校に通い、同10月からの学費を請求された。相談に応じた弁護士は取材に「合意のない一方的な変更は認められない」と話した。
ルニンさんはまた、清水理事長が会見で「ウクライナの人は一定期間無償で学べている。はっきり言って『難民貴族』だ」と述べたことについて、「日本社会に良くしてもらっていることは確かだが、侮辱だ」と話して不快感を示した。
日本語学校に通うウクライナからの避難者をめぐっては、前橋市が市営住宅を提供し、国とともに1人あたり月額15万円を支給しており、市は避難者からの相談に応じるなどの対応を取っている。