ニュース裏表 安積明子 永田町に投下された〝内部文書〟の衝撃 高市早苗氏は追及否定し「捏造」と明言 過去にもあったリーク、その共通点とは?

ある〝内部文書〟が波紋を呼んでいる。放送法に基づく政治的公平性について、「放送事業者の番組全体を見て判断する」とする総務省の解釈をめぐり、安倍晋三政権が一部の民放番組を〝偏向〟だと問題視し、「解釈変更」に向けた圧力をかけたというのだ。
「厳重取扱注意」などと記された総務省作成の約80枚の文書を入手したという立憲民主党の小西洋之参院議員は3日、参院予算委員会で質問に立ち、岸田文雄首相や、当時の総務相である高市早苗経済安全保障担当相を追及した。
委員会で注目されたのは、「政治的公平に関する件で高市大臣から総理に電話(日時不明)」という記述がある文書。高市氏と安倍氏が電話で打ち合わせを行い、安倍氏から「『今までの放送法の解釈がおかしい』旨の発言」があったとのくだりもある。
これに対し、高市氏は安倍氏との電話の内容について、「捏造(ねつぞう)だと考えている」と明言した。捏造でなかった場合は閣僚や議員を辞職するか問われ、「結構だ」とまで言い切った。
高市氏は同日、産経新聞の取材に応じ、「日時不明で私が安倍首相と(放送法の解釈について)会話したと書いてあるが、私の電話を誰かが盗聴でもしているのか。驚くべき内容だ」とも語っている。
確かに、一連の文書には、「反応だったとのこと」「あったようだ」などと断定を避ける表現も見られる。
これが総務省側から提供されたとすれば、リークの背景は何なのか。過去にも同様の〝内部文書〟騒ぎはあったが、気になるのは、その「タイミング」だ。
例えば、2002年の「鈴木宗男事件」だ。対露外交で独自の存在感を発揮していた鈴木氏に対し、野党はリークされたとする外務省の〝内部文書〟などをもとに、疑惑を追及した。
当時の小泉純一郎政権は、田中真紀子氏を外相に起用したが、方々で対立を引き起こす政治手法に外務省内も混乱していた。そこで、「毒を以って毒を制す」とばかりに台頭したのが、同じように押しの強さで知られる鈴木氏だ。
両氏は国会などで激しいバトルを繰り広げ、結果的に真紀子氏は外相から追い落とされた。鈴木氏も、外交が絡む疑惑を追及されたのち、あっせん収賄罪などで東京地検特捜部に立件され、失職した。
内情のリークは、官僚による政権への不満や、権力の隙間を官僚が狙い撃ちする動きとも見て取れるのだ。
昨年7月に安倍氏が凶弾に倒れてから、日本は政治の大きな空白を埋められていない。その安倍氏らを名指しする「内部文書」がリークされた。核心に何があるのか、われわれはしっかりと見すえる必要がありそうだ。 (政治ジャーナリスト・安積明子)