遺伝子を組み換えて体が赤色に発光する観賞用のメダカを国の承認なしに育成したとして、警視庁は8日までに、遺伝子組み換え生物の使用などを規制するカルタヘナ法違反の疑いで60代会社員の男ら5人を逮捕し、東京工業大の30代元学生ら4人を書類送検した。“カルタヘナ”とは一体何なのか。
同庁生活環境課によると、同法違反容疑での逮捕は全国初。十数年前に元学生が大学の研究所から卵を持ち出したことで繁殖したとみられる。繁殖した中には「ロイヤルピングー」と名付け、2匹10万円で販売されたケースもあった。同課は、関係先から約1400匹を押収。すでに容疑者の1人の自宅近くの用水路に廃棄されたメダカもいたが、生態系への影響はなかったという。9人は容疑を認めている。
聞き慣れないカルタヘナ法は正式名「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」。コロンビア・カルタヘナで開催された生物多様性条約特別締約国会議において議定書の採択が目指されたことから、「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」となり、2000年に採択され、03年に締結。日本では04年に同法が施行された。
遺伝子組み換えされた種類が取引されてしまうのは極端な例だが、メダカの世界にはマニアがいる。日進月歩で品種改良が繰り返されており、20年前は50種類ほどだったものが、現在は700種類近くになっているといわれる。
金魚同様に、体形、体色、柄、ヒレ、目などの変化でバリエーションが生じる。品種改良といっても、決して遺伝子組み換えで新種を作るのではなく、突然変異や交配で体形などの個性を強め、新種を生み出していく。業者だけでなく、マニアの間では「改良メダカ」を自ら生み出す人もいる。
メダカマニアは「誰も見たことのないメダカを作りたいというのが“改良メダカ”のマニアです。メダカは半年しないと本来の姿が分からない。しかも、新種ができたと思っても、1~3代ではその形態が固定化されず、元に戻る可能性もあるので、代を重ねて固定化しなくてはいけない。新種を作れたら、商品として高利益となるメダカですが、生き物だけに手間がかかり、全滅するリスクも高い。観賞用なので自然に返すことはないし、戻してはダメですが、改良メダカは体質が弱いので、自然下では淘汰されるか、交雑して野生種に戻ると思われます」と語る。
しかし、遺伝子組み換えの生物はどんな影響を与えるか分からない。農林水産省のホームページによると、「作出された遺伝子組換え生物等の形質次第では、野生動植物の急激な減少などを引き起こし、生物の多様性に影響を与える可能性が危惧されています」という。だから、カルタヘナ法があるわけだ。