ガーシー氏除名公算、対応が後手に回った国会…権威揺らぐ

与野党は8日、NHK党のガーシー(本名・東谷義和)参院議員に対し、最も重い懲罰となる「除名」を科すための手続きにようやく着手した。昨年7月の参院選で初当選して以降、約7か月にわたって、国会欠席を続けても歳費などが満額支給されてきた。対応が後手に回ったのは否めず、国会の権威が揺らいでいる。
「言語道断と言わざるを得ない。除名が視野に入った調整になってくる」
自民党の世耕弘成参院幹事長は8日、ガーシー氏が参院から科された「議場での陳謝」に応じなかったことを踏まえ、こう語った。
この後、自民、立憲民主両党の参院国会対策委員長が除名の懲罰を科すことを念頭に、15日に参院本会議を開くことで大筋合意した。本会議で懲罰案が可決され、議長が宣告すれば、その時点で議員の身分を喪失する。
ガーシー氏を巡っては、昨年8月3~5日の臨時国会と10月3日~12月10日の臨時国会を欠席し続けたにもかかわらず、「あまり経験のないケース」(世耕氏)で、与野党は手をこまぬいていた。
懲罰を科すための本格的な検討が始まったのは、1月23日に召集された今国会になってからだ。「議場での陳謝」は2月21日の参院懲罰委員会での採決を経て、翌22日の参院本会議で可決され、決定した。

野党の一部は「1回で除名もやむなしだ」(立民・斎藤嘉隆参院国対委員長)と主張したが、陳謝を拒否した場合は除名とする「二段構え」の対応をとることでまとまった。「議員の身分は重く、慎重な対応が必要だ」との理由だった。
参院事務局によると、ガーシー氏には計1833万7590円が支給されている。内訳は歳費が計925万8361円、期末手当が188万5681円、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)が計719万3548円。15日に除名された場合、3月分の歳費と旧文通費も、日割り計算して110万9999円が支給されることになる。
ガーシー氏の問題を受け、識者からは懲罰制度の見直しを検討するべきだとの声も上がっており、与野党は対応を迫られそうだ。
国会法に基づく懲罰には重い順に、除名、登院停止、議場での陳謝、戒告の4種類がある。政策研究大学院大の竹中治堅教授(日本政治)は「合理的な理由がなく長期欠席する場合には、歳費を差し止める案が考えられる」と指摘。「確信犯的に議員を出席させない政党には、政党交付金を払わない方法がある」とも語る。