日銀新総裁に植田和男氏、国会が承認…副総裁の氷見野氏と内田氏も

参院は10日午前の本会議で、日本銀行の次期総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏(71)、次期副総裁に氷見野良三・前金融庁長官(62)と内田真一・日銀理事(60)をそれぞれ起用する政府の人事案を自民、公明両党などの賛成多数で可決した。衆院は9日に可決され、国会の承認手続きを終えた。
政府は20日付で氷見野、内田両氏を副総裁、4月9日付で植田氏を総裁に任命する。植田氏は日銀初の学者出身の総裁となる。政府・日銀は、過去10年の大規模な金融緩和で改善してきた経済をさらに底上げし、物価の持続的な上昇と経済成長の好循環を目指す。新体制で初めて行う定例の金融政策決定会合は4月27、28日となる。
植田氏は国際経済学が専門。金融緩和に積極的だった現職の黒田 東彦 (はるひこ)総裁に比べ、金融緩和による効果とともに悪影響にも配慮するとみられている。2月の衆参両院における所信聴取で、植田氏は金融緩和を継続する意向を示しつつ、「政策には効果と副作用が常にある。冷静に比較考慮し、適切な政策を実施していく」と語った。
日銀との関係では、1998~2005年、金融政策の決定に関わる審議委員を務めた。ノーベル経済学賞を受賞した元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏らとも交流があり、国際人脈が豊富だ。
副総裁となる氷見野氏と内田氏も、当面は金融緩和を続ける考えを示している。氷見野氏は金融庁時代、主要各国が集まる国際的な金融規制の協議体でとりまとめ役を務めた。内田氏は日銀理事などとして現在の金融緩和策の大半の立案・設計に携わった。
黒田総裁は4月8日、雨宮正佳、若田部昌澄の両副総裁は3月19日に任期満了となる。
植田和男氏(うえだ・かずお)=74年東大理卒、80年米マサチューセッツ工科大博士号取得(経済学)。東大教授から日本銀行審議委員。東大教授を経て17年から共立女子大教授。静岡県出身。
氷見野良三氏(ひみの・りょうぞう)=83年東大法卒、大蔵省(現財務省)入省。金融国際審議官などを経て20年7月から1年、金融庁長官。富山県出身。
内田真一氏(うちだ・しんいち)=86年東大法卒、日本銀行入行。新潟支店長や企画局長、名古屋支店長などを経て18年から理事。東京都出身。