今年、3回目が実施された大学入学共通テストは多くの教科・科目の問題でページ・文章量が増え、受験生にとっては効率良く問題文を読みこなす力が求められる傾向が強まっている。今後も同様の傾向が続くとみられ、専門家は「新聞のコラムを毎日読むなど、日頃から長めの文章に慣れることが効果的だ」と指摘している。
「見直す時間が…」
今年1月14、15日に行われた3回目の共通テスト。終了後、交流サイト(SNS)上では受験生とみられる人物が「(ページ数が多くて)見直す時間がない」「文章量えぐい」などと振り返る書き込みが相次いだ。今年は20の主な教科・科目のうち14教科・科目で1~4ページ増。大手予備校の河合塾も「分量が増加し構成も複雑で、時間内に全て解答するのは厳しい教科が多かった」と振り返った。
3年に始まった共通テストでは、初回からページ・文章量増加が顕著だった。例えば「数学Ⅰ・A」はセンター試験時代の平均的な構成では20ページ前後だったが、共通テスト初回では31ページ。試験時間の10分増を踏まえても、その読む量の増加が際立った。ほかの教科・科目でも、ページ数が増え、その傾向は3回目の今年まで続いている。
傾向変化が背景
ページ・文章量増の背景は、大学入試センターが、出題傾向を変化させたためだ。しばしば「知識偏重」「テクニックで解ける」と批判されたセンター試験を踏まえ、共通テストでは「判断力」や「思考力」を測ることを強調。結果的にどの教科・科目でも、複数の文章や資料を読み解き設問に臨む構成となり、ページ増につながった。
一方、河合塾によると、今年の共通テストの推定平均点は5教科7科目文系型が530点(前年507点)、5教科7科目理系型が548点(同510点)。前年に比べて平均点が上昇した背景には、一部教科・科目の易化に加え、「共通テストの出題傾向に受験生が慣れ、ページが増えても対応できた」(大手予備校関係者)との指摘がある。
とはいえ、新学習指導要領の実施に伴い令和7年1月実施分の共通テストから内容が再編され、多くの受験生にとって必須となる「情報Ⅰ」が追加。昨年、大学入試センターが公表した情報Ⅰの問題例でも複数の文章や資料を組み合わせたものが目立った。受験生にとってはさらに読まなければならない問題文が増えるため、速読のテクニックと教科・ページ増に対応できる集中力が今後も欠かせない。
対応、両極化も
このため、共通テストへの受験生の対応は両極化する可能性が高い。国公立を中心に難関大を目指す受験生の多くにとっては今後も共通テスト受験が必須となる一方、私立専願の受験生が共通テストを受験しない傾向が強まるとの見方が受験業界では出ている。
河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は、共通テストについて、「思考力、判断力を試す前提として長い文章と条件設定を与えている。シンプルな出題に戻せば、センター試験のままで良かったということになる」として、今後も同様の傾向が続くと想定。その上で「友達とのやり取りがスマートフォンやチャットを通して数行で終わるなど、今の子供の多くは長めの文章に日常で接していない。日頃から新聞で興味のある分野に関するコラムを読むなど、長めの文章に取り組むことが共通テスト対策にもつながる」と指摘している。(大泉晋之助)
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令和7年以降の大学入学共通テスト 新学習指導要領の実施に伴い7教科21科目(現行は6教科30科目)に出題教科・科目が再編される。現行と同様、初日に地理歴史・公民と国語、外国語、2日目に理科と数学を実施。新たに加わる情報Ⅰは2日目の最後となる。多くの受験生にとっては受験教科が増えるため、これまで以上に集中力が試されそう。また、大学入試センターは、平均点の差が大きい科目間の得点調整について、実施を判断する新たな基準を追加する。