北ICBM発射、日韓首脳会談けん制か…日米韓の緊密な連携確認

防衛省は16日、北朝鮮が同日午前7時9分頃、 平壌 (ピョンヤン)近郊から東方向に向けて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級1発を発射したと発表した。約70分間飛行し、同8時19分頃、北海道・ 渡島大島 (おしまおおしま)の西方約200キロ・メートル、日本の排他的経済水域(EEZ)外側の日本海に落下したと推定される。
同省によると、ミサイルの飛行距離は約1000キロ・メートル、最高高度は6000キロ・メートルを超え、通常より高角度の「ロフテッド軌道」で打ち上げられたとみられる。船舶などへの被害は確認されていない。北朝鮮のICBM発射は2月18日以来で、可能性のあるものを含め12回目。政府は、北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮へ厳重に抗議した。
政府は16日午前、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開催した。岸田首相は記者団に「地域の平和と安定は、関係国にとって大変重要な課題だ。同盟国、同志国との連携をいっそう緊密にしていかなければならない」と語った。
首相は16日午後、就任後、初来日する韓国の 尹錫悦 (ユンソンニョル)大統領と会談する。北朝鮮のミサイル発射は、日韓の関係改善や安全保障協力の強化をけん制する狙いがあるとみられる。外務省の船越健裕アジア大洋州局長は16日午前、米国のソン・キム北朝鮮担当特使、韓国外交省の 金健 (キムゴン)朝鮮半島平和交渉本部長と電話で会談し、日米韓で緊密に連携していく方針を確認した。
韓国軍合同参謀本部によると、今回のミサイルは、平壌北部の 順安 (スナン)付近から発射された。13日に始まった米韓合同軍事演習への対抗措置ともみられている。
韓国政府は16日午前、国家安全保障会議(NSC)常任委員会の緊急会議を開いた。尹氏は、米韓演習の続行を指示し、日米韓の安全保障協力を強化していく方針を示した。