文化・芸術行政を担う文化庁が27日、京都市に移転した。古都・京都の今後の目標は、かねて掲げてきた「文化首都」としての地位の確立だ。移転を契機とした情報発信力の強化とともに、文化財や伝統文化といった豊富な資源を活用し、〝首都化〟を一層進めたい思いがある。
京都府や京都市、京都商工会議所などでつくる「文化庁連携プラットフォーム」は20日、同市内で総会を開いた。今後は文化庁職員との定期的な意見交換などを計画し、課題の共有や連携事業の展開を模索。記念式典を9月に開くほか、大規模な音楽イベントも計画中だ。
西脇隆俊知事は「京都や日本全体の文化の発展につながるよう協力を」と参加団体・企業に要望。門川大作京都市長は「文化の力で地方創生を牽引(けんいん)したい」と意気込んだ。
入居する新庁舎は旧府警本部本館を改修したほか新行政棟も建設。建設費は府が負担し、文化庁には相場より抑えた賃料(年間約1億4千万円)で貸す。さらに隣接する府庁旧本館(重要文化財)を観光拠点化する計画で、カフェ誘致も検討している。
京都商工会議所も移転支援事業として、府が所有する旧富岡鉄斎邸(上京区)を借り受けて再整備。文化と産業の交流拠点として今秋に完成させる予定で、「迎賓・情報発信拠点のほか茶道・華道体験や講演会、ビジネス交流などの活用法を考えていきたい」と文化庁移転を起爆剤とした今後の観光振興に期待を込めた。
万博へ歓迎の声
文化庁の京都移転に、関西各地からも歓迎の声が上がった。
京都と並んで多数の名所を有する古都・奈良。平城宮跡(奈良市)の発掘調査などに取り組んでいる奈良文化財研究所(同)の本中真所長は「距離が近くなり、情報共有や意思疎通がしやすくなる。調査・研究と行政は切っても切れない関係なので、交流にも期待したい」と話した。
2025年大阪・関西万博を控える大阪でも新文化庁への期待は大きい。府文化課の担当者は「万博では文化的な発信も重要な柱の一つ。文化庁が今後、関西から日本の文化を発信していくことには大きな意味がある」と連携の強化に意欲を見せた。