小説「波うつ土地」をはじめ、評論や戯曲など多彩な執筆活動を展開した作家の富岡多惠子(とみおか・たえこ、本名・菅多惠子=すが・たえこ)さんが6日、老衰で死去した。87歳。告別式は11日午前9時半、静岡県伊東市川奈1256の19法輪閣。喪主は現代美術家で夫、菅木志雄(すが・きしお)氏。
大阪市生まれ。詩人の小野十三郎の影響を受けて詩を書き始め、1958年、詩集「返礼」でH氏賞を受賞。その後、小説を手掛け、「冥途の家族」で女流文学賞を受けた。鋭い批評眼と文学性を持った評論も評価が高く、「中勘助の恋」で94年に読売文学賞。「 釋●空 (しゃくちょうくう)ノート」(毎日出版文化賞)、「西鶴の感情」(伊藤整文学賞、大佛次郎賞)などを執筆した。読売文学賞の選考委員も務めた。日本芸術院会員。
慶応大の小平麻衣子教授(日本近代文学)の話「詩人としての鋭敏さを持ち続け、大阪の方言や古典などを取り入れながら、男女の深いかかわりを描いた小説を残した。上野千鶴子さん、小倉千加子さんと共著で出した『男流文学論』は、男性作家の作品を論じ、フェミニズム批評として先駆的だった」
(●は二点しんにょうに召)