北朝鮮が弾道ミサイルを発射した13日朝、全国瞬時警報システム(Jアラート)で一時、周辺に落下する恐れがあるとされた北海道では、学校や交通機関などが対応に追われた。Jアラート発令までに時間がかかった上、その後情報が訂正される混乱もあり、自治体や漁業関係者からは改良を求める声が上がった。
Jアラートの発令と児童・生徒の登校時間が重なった札幌市の市立学校では、一時登校自粛を求めた。
中央区の小学校は午前8時ごろ、登校前の児童に自宅待機を呼び掛けるメールを保護者らに通知。すでに登校した児童らは体育館に避難させた。教員らが手分けして通学路に向かい、登校途中の児童を学校まで引率する場面もあった。
その後、政府が「落下の可能性はなくなった」とJアラートの内容を訂正。同市内の別の小学校は午前8時半ごろに自宅待機を解除し、通常より約50分遅れで登校完了を確認した。
男性校長(58)は「一時は子供たちの安全確保に不安がよぎった。判断に迷う時間帯にJアラートが発表されることもある。教員、保護者の間で対応の在り方を再確認したい」と気を引き締めていた。
一方、午前7時56分から25分間運転を見合わせた札幌市営地下鉄。運転再開後もホームは通勤・通学客ですし詰め状態が続き、乗れない人が相次いだ。私立大1年の女性(18)は「20、30分待っているけれど、まだ乗れない。1限はもう諦めた」と話した。
北海道庁では、危機対策課職員が情報収集に奔走した。鈴木直道知事は午前10時からの連絡会議で、「極めて深刻かつ重大な脅威。断じて容認できない」と発言。政府に対し、国連安全保障理事会決議に違反する行為を繰り返さないよう北朝鮮に求める緊急要請を行うことを明らかにした。
日本海に面した松前町は2月にも、渡島(おしま)大島沖の排他的経済水域(EEZ)内にミサイルが落下。13日午前も情報収集に当たった職員はJアラートの訂正に「国の情報が錯綜(さくそう)している。人命第一なので致し方ない部分もあるが、改善を期待したい」と話す。
無防備の海上で危険にさらされる漁業関係者からは切実な声も。ひやま漁協(乙部町)の担当者は「国対国のやりとりなのでわれわれにはどうすることもできない」。東しゃこたん漁協(古平町)の担当者は「屋内に避難しても実際にミサイルが来たらどうにもならない」と訴えた。
航空自衛隊元空将で麗澤大の織田邦男特別教授は「Jアラートは迅速性が優先されるため、結果的に誤報となり、かえって危険だという意見もある。だが、危機管理には空振りを許容するリテラシーも求められていることを忘れてはならない」としている。