北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射に備え、22日以降、沖縄県内全域で迎撃態勢の準備が進む。防衛省は29日までの間、航空自衛隊の輸送機や海自艦艇、民間船舶で地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を福岡県内の空自3基地から沖縄県内へ運び込む計画。宮古島市と石垣市に加えて、与那国町にも展開する見通しだ。
(東京報道部・新垣卓也、政経部・又吉俊充)
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関係者によると、22~29日の間、航空自衛隊の芦屋基地、築城基地、高良台分屯基地(いずれも福岡県)から宮古、八重山などにPAC3を配置する計画。空自のC2輸送機や海自の輸送艦などで必要な装備・機材を運び、レーダー装置を備えた車両なども陸揚げする予定だ。
防衛省は、ミサイルやその一部が沖縄周辺に落下する事態に備え、県内各地に配置したPAC3などによる迎撃の態勢を整える。
防衛省関係者はPAC3の宮古、八重山への展開について「北朝鮮の過去の発射事例を踏まえれば必須だ」と強調。「全国に配備しているPAC3の態勢とのバランスも考えた上での配置になる」と語った。
防衛省によると、人工衛星打ち上げなどと予告した北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイル発射は09年4月、12年4月と12月、16年2月の計4回。
そのうち12年以降の3回は南方に発射され、同年4月は失敗だったものの、同年12月や16年2月には沖縄上空を通過した。いずれのケースでも、破壊措置命令に基づく迎撃は実施されていないという。
宮古島市や石垣市には南方に発射した3回ともPAC3が一時展開したが、与那国町での展開は初めてとみられる。
自衛隊による迎撃を可能とする破壊措置命令は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射を踏まえ、16年8月以降に常時発令された状態となっている。
今回、防衛相が出した準備命令には、ミサイル防衛(MD)による迎撃態勢に入るため、PAC3の展開などの事前準備を円滑にする狙いがある。
準備命令の発出は12年以来。16年当時は破壊措置命令だけを事前に発出していた。防衛省は「その時々の状況を踏まえて適切な命令を出している」と説明する。